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産婦人科長 佐藤 文彦
妊娠したお母さんに聞くとほとんどの方が母乳で育てたいと答えます。しかし、山形県では実際に母乳だけで育てている人の割合は30%程度というのが現状です。優秀なミルク(人工乳)の開発や、戦後の安全を重視したお産や育児という方策のためと思われます。山形県は全国的に見て母乳率が高いとはいえません。これは高い共稼ぎ率や母乳育児への環境のためかもしれません。母乳を与えることは、母乳が栄養として良い、赤ちゃんが病気になりにくい、おかあさんの産後の回復が早いなどの利点に加えて、母と子の絆(きずな)を強めます。母が子を、子が母を思う気持ちが強まり、社会的な問題となっている虐待や暴力の防止効果が期待されています。